「FX取引のリスクとは?」
「FXのリスクと危険性を回避するポイントについて知りたい。」
本記事では、FX取引のリスクや、FXのリスクと危険性を回避するポイントについて解説します。
FX取引は、大きなリターンが得られる可能性がある一方で、為替変動リスク、レバレッジリスク、ロスカットリスクなどのリスク(不確実性)があります。
これらのリスクを理解していないと、大きな損失を被る可能性があるので注意が必要です。しかし、FX取引のリスクや危険性を正しく理解していれば過度に恐れる必要はありません。
今回は、これらのリスクや危険性に対して、どの様な対策をすべきなのかを解説していきます。
FX取引のリスク
FX取引のリスクについて解説します。
為替変動リスク
為替変動リスクとは、為替レートの変動によって、損失を被るリスクのことを指します。
FX取引におけるリスクの中でも、この為替変動リスクは最も注意しなければならないものです。
FXは為替レートの変動を利用して利益を得る投資です。為替レートの変動を予測して、予測が当たれば利益(為替差益)を得られますが、予測が外れると損失(為替差損)が発生します。
利益を得られる反面、損失が発生するリスクがあることを理解しておく必要があります。
しかしながら、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析により、為替レート変動の予測精度を高めることで、為替変動リスクを低減することができます。
レバレッジリスク
レバレッジリスクとは、レバレッジにより損失が拡大するリスクです。
日本国内のFX会社のレバレッジは、最大25倍(個人向け口座)に制限されています。
例えば、証拠金1億円で25倍のレバレッジを利用して、1ドル100円の時に為替レートが1円変動すると、25万円の損失になります。レバレッジを利用しなければ、1万円の損失で済むので、その差は歴然です。
こちらの様にレバレッジのリスクは、レバレッジが大きいほど、比例して損失も大きくなるという点です。
レバレッジは、利益を大きくすることができるといったメリットも存在していますが、FXに慣れるまで低いレバレッジで取引することをおすすめします。
ロスカットリスク
ロスカットリスクとは、投資家の意思とは関係なく、FX会社によって強制決済が行われ、損失が確定してしまうリスクです。
ロスカットは、損失(証拠金維持率)がある一定の水準に達した場合に実施されます。
例えば、OANDA証券では、必要証拠金(維持証拠金)がある一定の水準を下回った場合(※証拠金維持率が100%を下回った場合)に、ロスカットが実施されます。
こちらのロスカットの仕組みは、損失の拡大を防ぐことで、投資家を保護する役割を果たしています。
ロスカットが執行されると証拠金のほとんどを失うことになりますので、ロスカット水準をいつも意識して、資金管理によって証拠金残高や、レバレッジの比率をコントロールすることが重要です。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、金利の変動によって損失を被るリスクのことです。
FXでは為替差益だけでなく、スワップポイントでも利益を得ることができます。スワップポイントとは「2つの国の金利差によって発生する損益」です。
「低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買う」というキャリートレードを行うことで、毎日スワップポイントを利益として受け取ることができます。
ただし、スワップポイントは、常に受け取れるわけではありません。「金利の高い通貨を売って、金利の低い通貨を買う」取引の場合には、スワップポイントを支払う必要があります。
また、金利は変動するので、現在のスワップポイントが将来にわたって継続する保証はなく、プラスのスワップがマイナスになる可能性もあります。
短期的には、金利が大きく変動することはありませんが、長期的にはそちらの様なリスクがあることを理解しておく必要があります。
一般的にスワップポイントの高い通貨は為替レートの変動が大きい傾向にあります。スワップポイントで利益を上げても、為替差損が大きければ意味がありませんので、取引の際には値動きをよく見て慎重にお願いします。
また、スワップポイントで利益を上げても、税金はかかりますので、ご注意ください。
信用リスク
信用リスクとは、FX会社や信託銀行などが破綻するリスクを指します。FXの会社は、投資家から預かった証拠金を信託銀行などに預けています。
FXの会社と投資家の資産は、分別して管理されているため、万が一破綻した場合でも、受益者代表を通じて投資家の資金は原則として、全額返還されることになっています。
一方で、信託銀行が破綻した場合はこの限りではなく、証拠金の一部または全部が消失する可能性があります。
FX会社は、顧客から注文を受けると、銀行や証券会社とカバー取引を行います。こちらのカバー取引の相手方の信用状況が悪化すると、通常通り取引ができなくなり、投資家にとって不利益な状況が発生する可能性があります。
このよう様なリスクがあるため、FX取引を始める際には、特に信頼性の高いFX会社を選ぶ必要があります。
流動性リスク
流動性リスクとは、市場で売買が困難になったり、できなくなったりするリスクを指します。
流動性とは「売買のしやすさ」のことです。
原則としてFXは流動性が高く、売買がしやすいですが、主要国の市場終了間際や、主要国の重要経済指標やイベントの前、主要国の祝日などは流動性が低下して、売買がしにくくなることがあります。
また、突発的な事象によるパニック相場では、ほとんどの投資家が「売り手」になり「買い手」がいないため、取引が成立しにくくなります。
通貨別に見ると、米ドル、ユーロ、円などは流動性が高いですが、南アフリカランド、メキシコペソ、トルコリラなどは流動性が低い通貨です。流動性の低いマイナー通貨を取引する際には、流動性リスクに注意が必要です。
FXでは特にレバレッジのリスクに注意が必要
FXの最大の魅力は、レバレッジにより、わずか数十分の一の証拠金(元本)で、最大25倍ものポジションを保有でき、大きな利益を狙えることです。 その反面、判断を誤ると、強制決済(ロスカット)により、証拠金以上の損失が発生するだけでなく、場合によっては証拠金を上回る損失を被ることもあります。
しかし、損切りをしなければならない状況に陥るということは、ご自身の資金力に対して実効レバレッジ(取引額(為替レート×保有ポジションの数量)÷有効証拠金額)が高くなっていることが原因です。
証拠金に対して、最大限のポジションを取るのではなく、有効レバレッジを低く抑えておけば、多少の為替差損が発生したとしても、ロスカットを迫られることはありません。
FXのリスクと危険性を回避するポイント
これまで紹介してきたFXのリスクは、以下のポイントを押さえることで回避することができます。
- 損切りと利益確定ラインを決めておく
- 強制ロスカットラインを知っておく
- 余裕資金で取引する
特に「損益に関わらず、あるポイントで決済する」というルールは重要です。特に初心者の方は、相場の動きに一喜一憂して判断を誤りがちです。FXで大切なのは冷静な判断ができることなので、あらかじめあるポイントを決めて、それに従って冷静に、かつ計画的に取引しましょう。
損切りと利益確定ラインを決めておく
特に初心者の方は、チャートの上下の動きを見て、感情に流されて判断を誤りやすいものです。いつ相場が大きく変動するか分からないので、感情で判断すると、大きな損失を被る可能性が非常に高くなります。そのため、利益が出ても損失が出ても「損切り」するラインを決めておく必要があります。
損切りラインを決めておくと、大きな利益を得ることは難しくなりますが、大きな損失を被ることも避けられます。ちなみに、利益確定ラインと損切りラインの比率は「リスクリワード比率」と呼ばれています。
ロスカットラインを把握しておく
証拠金を上回る損失を防ぐロスカットは投資家にとって心強い味方ですが、いったんラインが切られると、損失を回復するのは容易ではありません。現在のポジションでどれだけの損失が発生するのか、また、いつラインが切られるのかを把握しておくことは、予想外の取引を防ぐために重要です。
また、FXの魅力のひとつであるレバレッジですが、高レバレッジで取引すると、1回の取引で強制ロスカットの対象となる可能性もあります。そのため、慣れるまではレバレッジを使わないか、2倍から3倍程度の低レバレッジで取引するようにしましょう。
高いレバレッジを避けることで、損失を被ったとしても、強制ロスカットの対象となる確率を減らすことができます。
余裕資金でトレードする
FXを含めた投資の基本は、「失ってもいいお金」を使うことです。生活費や貯金などを投資に回してしまうと、大きな損失を被った場合に生活や将来設計ができなくなる可能性があります。
特に、生活費に必要な資金で投資を始めてしまうと、損切りするタイミングが遅れたり、「損失を出せない」という気持ちから、無茶な賭けに出てしまうことがあります。
また、家族がいる場合は、家族の生活にも影響を及ぼす可能性があり、迷惑をかけてしまうことにもなりかねませんので、必要な資金とは別に、余裕資金を用意できる場合だけ取引するようにしましょう。
まとめ
FX取引のリスクや、その危険性を回避するポイントについて解説しました。
FXでは大きな利益を狙うことができますが、その反面、さまざまなリスクがあり、一歩間違えれば大きな損失を被る可能性もあります。しかし、事前にさまざまなリスクを知り、適切な対策を講じておけば、失敗を避けることができます。
ここで紹介した対策をふまえ、FXのリスクに備え、安全・安心な取引を行いましょう。