「FXの経済指標とは何?」
「FXの経済指標の見方と取引への活用方法について知りたい。」
「FXの指標トレードで注意するべきことは?」
本記事では、FXの経済指標とは何であるのかや、FXの経済指標の見方と取引への活用方法、FXの指標トレードで注意すべきことについて解説します。
FXの経済指標とは何?
経済指標とは、各国政府が発表する経済状況の数値指標です。一般的に、その国の経済状況に応じて市場価格は変動するため、経済指標は今後の価格(レート)の方向性を予測する上で非常に有用です。
FXの経済指標の見方と取引への活用方法
経済指標の発表値と予想値の差が大きい場合は、相場が動く可能性が高いですが、差が小さい場合は相場が動かない可能性が高いです。
経済指標は、その国の経済状況を把握し、為替の変動を予測する材料として活用できます。経済指標の予測値や前回値が発表されると、経済成長を背景にその国の通貨が買われ、逆に悪化を背景に売られることになります。
ただし、市場が予測値や前回値をすでに織り込んでいる場合もあり、結果が良くても悪くても、値動きが少ないこともあります。
主な経済指標の例
- 雇用の指標(雇用統計)
- 金利の指標(政策金利)
- 景気の指標(GDP,景況感調査、消費動向)
- 物価の指標(物価上昇率)
- 貿易の指標(貿易赤字)
米国の経済指標の特徴
経済指標とは、一定期間の経済成長の度合いを示す数値のことで、政府が算出・発表しています。
投資家は、投資戦略を立てる際に、これらの数値を参考にします。また、中央銀行は、金融政策の方向性を決定する際に、これらの数値を使用します。
経済指標を見る際に最も重要なのは、市場予想との乖離率(かいりりつ)です。各証券会社が経済指標カレンダーを公表しています。こちらを見ましたら、前回との乖離率、予想、結果がわかります。
予想と結果の乖離が大きいほど、マーケットが動くということを覚えておいてください。それでは、それぞれの特徴を解説します。
金融政策決定
アメリカ | FOMC |
日本 | 日銀金融政策発表 |
ユーロ連合 | ECB |
イギリス | BOE |
オーストラリア | RBA |
カナダ | BOC |
証券会社などの経済指標カレンダーを見ると、各国の政策金利発表予定日が記載されています。
こちらの日に、各国の政策金利や金融政策が発表されます。政策金利や金融政策とは、長期的にその国の経済を良くするために、中央銀行が市場に流通するお金をコントロールすることを指します。そのため、市場に最も影響を与える経済指標です。金融政策が180度変われば、相場は一方通行になります。
雇用統計
雇用統計とは、雇用者数や失業率、平均時給などをまとめたデータのことです。
こちらの経済指標によって、2010年代には1日に1~2円とドル円レートが動くこともありました。市場の予想を大幅に上回る、または下回る数値が出た場合、相場は一方的に動く傾向があります。
個人投資家が最も注目する指標であり、最も値動きが期待できる指標でもあります。予想と実際の数値が大きく異なると、ドル円相場は大きく一方方向に動く傾向があります。
2024年2月2日雇用統計時は、雇用統計の結果が予想と異なっていたので、ドル円相場は1.5円と、大きく一方方向に動きました。
消費者物価指数
こちらは、消費者が商品やサービスを購入する際の価格の変動を表しています。つまり、物価の変動を表します。CPIとも呼ばれています。
インフレやデフレを抑制することも、中央銀行の役割です。そのため、CPIの数値は金融政策の決定と密接に関係しており、注目度が高いのです。
市場の予想と数値が異なれば、大きく相場が変動しますが、予想通りであればトレードしやすい相場になります。
PCE
PCEは、米国の個人が消費目的で支出した財やサービスを合算した指数です。
PCE価格指数には、非営利企業のデータも含まれており、より幅広い品目の消費動向を記録しています。物価変動が個人消費に与える影響を見ることができるので、2022年以降インフレ対策を進めているFRBが、重視している指標です。
また、FRBはPCEデフレーターの数値を注視していると発言しており、注目が集まっています。取引のしやすさは、CPIと同じで、予想から大きく乖離しなければ、比較的取引しやすいです。
GDP
こちらは、誰もが知っている国内総生産です。経済成長率のことを指します。速報値と確定値がありますが、投資家の視点では、速報値が注目されます。相場はある程度変動しますが、すぐに元に戻ることが多いです。
ISM
ISMには、製造業購買担当者景気指数と非製造業指数の2つの指数があります。
名前の通り、製造業と非製造業の景気の状態を表します。50を上回れば景気は「良い」、50を下回れば景気は「悪化」と判断されます。
景気が「かなり悪化」と判断されましたら、株価は下落します。前月との比較も重要で、今後の景気を予想する材料になります。
小売売上高
小売店の販売実績を記録したデータです。GDPの3分の2が個人消費である米国では、小売りのデータは、景気動向に直結します。
相場の変動も穏やかで、トレードしやすい環境です。
その他にもいくつかの経済指標がありますが、経済指標カレンダーの★印のついたものは、必ずチェックしましょう。
FXの指標トレードで注意するべきことは?
FXの指標トレードで注意するべきことは、いくつかあります。
特に、米国の影響を受ける指標は変動幅が大きいので、あえて取引しないトレーダーも多いようです。指標トレードを行う場合は、注意すべきポイントをしっかりと理解して、自分なりのルールを作ることが必要です。
経済カレンダーで指標の予想値をチェックする
指標の予想値をチェックすることは、指標取引をする上で、最も基本的なことです。こちらのデータを見ずに、指標取引をすることはできないでしょう。
各FX会社が提供している、PCの取引ツールやスマートフォンのアプリで、情報を収集できるので、必ずチェックするようにしましょう。
特に、スマートフォンアプリのプッシュ通知機能は、とても便利なので、こちらを利用すれば、経済指標の発表を見逃さずにトレードできます。
損切り注文も必ず入れておく
指標トレードで失敗するケースの多くは、自分の予想と反対方向に、相場が動いてしまうことだと思います。大きな損失を被る主な原因は、損切り注文を入れていなかったことによるものです。
特に注目が集まり、変動が激しい相場では注文が成立しない、または設定レートと異なるレートで、約定されることがあります。
変動が激しいと、設定レートと異なるレートで約定されることがあります。30pipsの利益を狙うのであれば、15pipsのストップロスを置くか、許容できる範囲で注文を入れます。
成行注文やスピード注文は、スリッページが発生しやすいので、ストップロス注文を組み込んだ複合注文を利用することで、スリッページを限定しやすくなります。
推奨される注文方法は、IFDまたはIFD-OCO注文になります。
IFD注文とは?
IFD(イフダン)注文とは、新規注文と決済注文を同時に発注する注文方法です。
2つの注文を同時に設定することで、一方が成立した場合にもう一方の注文が自動的に有効になる注文形式です。
「○○円になったら新規で買い、その後、○○円になったら決済する」といった設定ができるので、価格を常に見張る必要がありません。
OCO注文とは?
OCO注文とは2つの注文を同時に設定し、どちらか一方が成立した場合に、もう一方の注文が自動的にキャンセルされる注文方法です。
OCO注文では、現在のレートから上下両方に指値や逆指値を注文しておくことで、利益確定とストップロスを設定することができます。たとえば、今保有しているポジションについて「一定の価格まで上がったら利益確定、下がったら損切りをしたい」という場面で用います。
利益確定と損切りを同時に設定できるので、損失を限定しつつ、利益を狙いやすくなります。また、急な価格変動があっても、自動で決済できるため、機会損失や大きな損失のリスクが軽減されます。
IFD-OCO注文とは?
IFD-OCO注文とは「IFD注文」と「OCO注文」を組み合わせたものです。
この注文方法では、エントリー注文が成立した後に、同時に2つの決済注文(利益確定注文と損切り注文)が有効になります。そして、どちらか一方が成立した時点で、もう一方の注文が自動的にキャンセルされます。
エントリー後に自動的に利益確定と損切りのラインが設定されるため、価格の急な変動にも対応できますし、常に市場を監視する必要がありません。
複数の指標が、同時に発表される時間帯は取引を避ける
複数の指標が、同時に発表される時間帯での取引はおすすめできません。そちらの理由は、値動きの予測が難しくなるからです。
例えば、AとBの経済指標が同時に発表されたとします。Aの指標が良く、Bの指標が悪かった場合、指標の強弱や結果の乖離により、どちらの方向に相場が動くか予想が難しくなります。そのため、経済指標が単独で発表されるタイミングで、取引を行うのが最も安全です。
経済指標発表後10分でポジションを閉じる
経済指標発表後は、相場が急激に大きく変動することがあります。ポジションを保有し続けることで、トレンドに乗って利益を追求することも可能ですが、こちらの場合は、確実な予想がある場合のみにしましょう。
狙った指標で利益が出たとしても、その他の指標の影響で、逆に相場が動くことも珍しくなく、為替差損が発生することもあります。
通常、22:00、22:15、22:30など、15分間隔で多くの経済指標が発表されるので、次の発表までにポジションを決済しておけば、後に発表される指標の影響を受けることはありません。
このため、ポジションを建ててから、10分後くらいにポジションを閉じるのが、一つの目安となります。
素早く発表される経済指標のデータを利用する
経済指標がポジティブなものか、ネガティブなものかに関わらず、重要な経済指標として発表されるデータの強弱が、はっきりしているほど、為替レートがどちらかに大きく動く可能性が高くなります。
発表直後は、スプレッドが広がる傾向にありますので、経済指標の結果をいち早く知ることができれば、素早くエントリーすることができ、利益を上げやすくなります。
まとめ
FXの経済指標とは何であるのかや、経済指標の見方と取引への活用方法、指標トレードで注意するべきことについて解説しました。
それぞれの指標には特徴やパターンがありますので、それらを把握できれば、大きなトレードができるようになります。ぜひ試してみてください!